Episode:1 Ami Misawa
北大ディベート部のメンバーや縁ある方々が、ディベートの魅力を語る
Episode。Episode1は、今年3月に巣立っていったばかりの
三澤亜美先輩にお話いただきます。
―三澤さんがディベートをはじめたきっかけは何ですか
高校のとき部活の会議で、ぜんぜん自分の意見を説得力をもっていえませんでした。そのことに危機感を持っていて、入学前にディベート部の存在を知り入部することにしました。
―はじめる前と後でディベートに対するイメージに変化はありました?
思っていたより、ゲーム性が高いってことかな。ゲームだから、勝ったらうれしいし、負けたら悔しい。そして、練習すれば上手くなる!
同じ論題について何ヶ月もやっていくので、自分が進化していくのがよくわかる。ルールがあって、同じ論題で、しかも限定された条件の中だから、似たような局面に出会ったり、違う角度から深く考えることができて、上達しやすいと思うんだ。全く同じ試合というのは存在しなくて、自分の上達が見えるのはとても楽しかったよ♪
―ゲームとしての楽しみ以外にメリットはあります?
これは、ディベートに限らないけれど、私は自分で試行錯誤した結果として、就職活動でも頑張った経験としてアピールできたよ。
卒論では、最後の最後になって考え方が役に立つと実感できたかな。
はじめは卒論って、研究テーマも自分で決めなくちゃいけないし、「ああ、なんて違うの!」と思っていたのね。
けれど、自分の主張が正しいと証明したり、私の仮説がある事象の主要な原因になっていますよー、という証明をしなきゃいけなかったりする。これはいわゆる固有性(注)の考え方だよね。そういう考え方ってディベートで何度もやってきたことだったの。
それがストーンと納得できてからはすごい進んだんだよね。まさに、立論を作る感じで、どうやって論理的に説明するとか、どの辺の証明が足りないとか、データの集め方や扱い方なんていうのも、卒論でも役に立ったと思っているよ。
―ディベートは詭弁を弄するとか、口喧嘩に強い人たちの集団みたいな誤解が多いです。
それはすごく悲しい誤解だよね。人格に対して反論したりするわけではないから、ある仮定のもとでのゲームをしているだけ。ロールプレイングみたいなもんなんだよね。
詭弁をいうわけでもないし、こういう条件のもとではこういう風に言えませんかって主張するだけだから。
イメージがよくないことは、世の中でいろいろあることだったりすることだよね。そこはしょうがないことだけれど、何か触れる機会があったら、その評価はいったんおいといて、素直な気持ちでみてほしいなーって思う。その上で判断してほしいなって思います。
―ありがとうございました
(注)固有性(内因性)・・・「利益/不利益がプランによって生じるものなのか」ということ。
たとえば、「学食のカレーを値下げするというプランを採択すると、カレーがまずくなる」
という主張があるとして、カレーがまずくなる要因は値下げだけにあるのだろうか?
カレーがまずくなる要因は、おばちゃん達にやる気がないからかもしれないし、
仕入れ業者が倒産したからかもしれないし、牛肉が偽装されているからかもしれない。
三澤亜美(みさわ・あみ)
2008年北大経済学部卒業。新渡戸賞とクラーク賞をとった才媛。
北大ディベートクラブにてディベートをはじめ、部長も務める。
東京在住。